遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大人の友情/河合隼雄

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  大人の友情  河合 隼雄  朝日文庫

  目次より抜粋

     「友だちが欲しい」

     「男女間に友情は成立するか」

     「友人の出世を喜べるか」

     「友人の死」

     「“つきあい”は難しい」

     「裏切り」

     「友情と同性愛」

     「茶呑み友だち」

     「友情と贈りもの」




私は決して友達が多い人間ではないが、

心底嫌いな人間もいないという、おめでたい人間。


特に人間関係がわずらわしいとは思わないが、

深入りするような仲になることは極力避けたい。


ただ、好きな異性はまったく別腹で、

“合体”抜きの男女間のつきあいは困難だと思う。

どきどきするのは大好きな女性の半径3m以内にいるとき、

これ今のところ変わらない。

ただし残念ながら大好きな異性は、3m以内に居ない。


奥さんとは恋愛結婚だが、30cm以内に居てもドキドキ感は消え、

でも信頼感は失せず、戦友みたいな間柄か。


友達は居ないけど、

仕事仲間(上司や部下)や夫婦や恩師や教え子の間にも友情は存在する、

ならそれで良いのではないかと、納得する。


漱石をはじめ、内外の文学作品から友情や人間関係の分析をしてくれ、

ご自身の体験も多く紹介され、

河合隼雄の文章は淡々と明快に大人の友情を語ってくれる。



66歳から77歳まで11年続いた哲学者・田辺元と作家の野上弥生子の関係を、

2人の往復書簡集から読み解いていく箇所は、

うるわしい恋愛小説を読んでいる感覚をおぼえ、少しどきどきしてしまった。


60歳を越えたら、男女間の友情がわかってくるかもしれない。



巨匠河合隼雄氏は、昨年お亡くなりになった。


この「大人の友情」は、私の友人のような存在である。



合掌。