遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大脱走/ジョン・スタージェス

イメージ 1



「シューシャンクの空に」のDVDを娘が借りてきた、

私は何回目かの視聴であったが、

そのなかのほんの数秒のシーンに、

大脱走」と同じシーンが出てきた。

その1シーンは、秘密にしないとルール違反になるので、

ここでは伏せておく。


「荒野の七人」(1960年)と同じ監督ジョン・スタージェスが、

主演に「七人」と同じくスティーブ・マックィーンを迎えた、

娯楽大作が「大脱走」(1963年)。


私は高校生1年生のときにリバイバル上映ではじめて劇場で観た。

大きなスクリーンのタイトルバックに流れてきた、

エルマー・バーンスタイン作曲のお馴染のテーマ音楽に、

ワクワクしたことを40年経った今でもよく憶えている。


若き私のお気に入りの俳優が、スティーブ・マックイーン

マックイーンの作品を、実にたくさん観たが、

スタージェスの大作「荒野の七人」「大脱走」が最初だった。


この作品では、ヤンキーなアメリカ兵役をよく演じ、

捕虜になっているイギリス兵などとは別に、

独りで脱走をいろいろ企ててくれる。

しかし、収容所の塀は高く遠く、なかなか成功せず、

グラブとボールを与えられて独房に送り込まれるのである。


しかし、クライマックスシーンで、

ひとたび塀の外に出ると、敵のオートバイを奪い取るや、

そのトライアンフにまたがり、

(奪い取ったドイツ軍のバイクはBMW製のはずだが、映画ではトライアンフ製だった)

ドイツの草原を疾駆する。


このシーンは「ブリット」でのカーチェイスとともに、

映画史上に残る追撃シーンである。

我々の世代でこのシーンを知らないものはいないはず。



もうひとり印象的なのが、イギリス軍の士官役で、

脱走計画を指揮したのが、リチャード・アッテンボローである。


後に「遠すぎた橋」「ガンジー」「コーラスライン」「遠い夜明け」

のメガホンを取った名監督である。

彼の個性的な姓(動物学者のデイビッドは弟)と容貌とともに、

リーダーシップを発揮する士官役が、

高校生の私にも実に印象的であった。



その他、J・ガーナー(飛行機で逃走)、

「荒野の七人」でも競演した、

J・コバーン(自転車で逃走)C・ブロンソン

後に「0011ナポレオンソロ」のイリヤ役で一世を風靡した、

若きD・マッカラム(列車で逃走)など脇役も渋い。


「シューシャンクの空に」「逃亡者」は、無実の罪からの逃走、

前の記事で紹介した「脱出記」は、スターリンからの逃走、

この「大脱走」は、ヒトラーからの逃走劇である。



不条理から逃れ、

自由を求めて、

人は、なんだってできる証がここにある。