遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

高津の富

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BIGくじ(toto)は、一等6億円が2本出てなお、

30億円がキャリーオーバーになっている。

ローソンに買いに行こうかと思うが、

いまだに買ったことがないので買い方がよくわからない。



連続朝ドラ「ちりとてちん」の先週の土曜日の再放送で、

京本政樹が宝くじの当選番号をチェックするくだりが出てきて、

「一等が子(ね)の1365番」というセリフに、

思わず女房に「それ、落語の『高津の富(こうづのとみ)』と同じやん」

と笑ってしまった。



大金持ちを気取って宿に泊まった旅人、

実はほとんど文無し。

旅館の主人が、売れ残った一枚一文のくじを大金持ちの旅人に買ってくれと頼む。

そのくじが、大阪の高津というところにある神社で主宰されている富くじで、

一等は5千両という超ビッグなくじである。


この旅人のなけなしの一文で買った一枚のくじ番号が、

ちりとてちん」にも登場する子の1365番であり、

見事一等賞が当たる。


この「高津の富」は、単純なストーリーだが夢のある、

しかもとても面白い私のお気に入りである。



私は70年代初頭にはすでに高校生であったが、

すでにわが母校には落研があり、

その当時からナマの高校生の上方噺を聞いて楽しんでいた。

修学旅行の夜には、同部屋の落研の男に

「相撲場風景」を一席演ってもらったりしていた。



そもそも落語は、詐欺まがいの話はあるがそれは成功しなかったり、

あたりまえだが殺人や生臭い話は一切なく、

間抜けで空気を読めないけれど、

憎めない楽しいキャラクターがたくさん登場する。


「高津の富」では、文無しの男が分別をわきまえた大金持ちを装って旅籠に泊まる、

そんな無理やりなシチュエーションを作り出す強引さが面白い。


大木こだまの漫才ギャグを借りて言うと、

「そんな奴おらんやろ」といった連中ばかり登場するところが、

現実離れしていて、実に楽しいのである。