遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

L.A.コンフィデンシャル/カーティス・ハンソン

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  L.A.コンフィデンシャル (1997)





で、またDVDを借りて映画を観た。


映画も原作もかなり以前に触れたので、

もともと記憶力はよくないのも幸い(?)し、

新鮮な気持ちで映画作品に触れることができた。


相棒刑事を殺され犯人を挙げるために血道を上げる、

武闘派刑事役のラッセル・クロウ


父親も警官だった上昇志向胸にたっぷり、

メガネのインテリ刑事役のガイ・ピアース


ハリウッドにも顔が利く有名タレント刑事にして、

柔軟な思考で仲間思いの刑事役のケヴィン・スペイシー


腐敗しきった世界を征するアクの強い刑事役を演じるこの3人の際立った個性と、

1950年代のロスの空気を感じられるところが、この映画の一番の魅力。


ことにガイ・ピアースがスマートで、好感が持てた。

ハリウッドでは無名同然だった彼は、

デリケートな役どころを凛と演じきった。


私と同年のキム・ベイシンガーは、

この当時すでに40歳をかなり過ぎているのにもかかわらず、

彼女の登場場面のすべてにおいて、妖艶な魅力で君臨しており、

その風格たるやキャサリン・ヘップバーンの如しであった。

彼女はこの役で、オスカーの助演女優賞を獲得した。




原作のジェームズ・エルロイの世界を、

コンパクトにスリリングによくまとめあげている。


ぐちゃっと重いエルロイの世界を、

「ぐちゃ」はそのままに、でも少し軽めに仕上げており、

後半の「えっ、そういうことになっていくのか?!」という展開が、

映画ならではの醍醐味となっている。



原作も映画も、どちらもお薦めの稀有な作品である。