遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

群鶴図屏風/鈴木其一

イメージ 1

  群鶴図屏風   鈴木其一



全国を巡回中のプライスコレクション「若冲と江戸絵画」展は、

4月13日から愛知県美術館で開催される。


その中から今日の1枚は鈴木其一(きいつ)の「群鶴図屏風」。



「鈴木其一」
其一は、江戸琳派(りんぱ)の画家。酒井抱一の門人で、師の画風を継承しつつも、それを進化させ、
より鋭敏な感覚と大胆な画面構成で、江戸時代後期の江戸画壇に新風を送った。

琳派
琳派は、桃山末期から江戸初期にかけて活躍した本阿弥光悦俵屋宗達にはじまり、尾形光琳・乾山
兄弟を経て、幕末の酒井抱一、鈴木其一へと続く日本美のひとつの頂点をなす画派に対する近時の呼
び名。近代日本画にも多大な影響を与えた。
かつて「宗達光琳派」「光悦派」「尾形流」「琳派」などさまざまに呼ばれていたが、明治以降、
欧米での人気の高まりが契機となり、今日では琳派が一般化している。



ユーモラスな、一見張りぼてのような鶴。

しかも、六曲一双単位で皆同一方向に向いていて、その姿はすべて真横からのもの。


普通ならそれぞれ違う方を向き、羽ばたきのひとつもしていそうなのだが、

ごらんのように、「飛びます飛びます」的な空気は皆無で、

どこまでも歩いていこう、的な空気である。


こんなにも江戸時代的に普通でないから、

海外に流出してしまったのかもしれない。

この単純でモダンなジャポニズムは、外国人なら飛びつくのであろう。


一羽一羽のその配置のされ方が絶妙で、

彼らの息づかいがしっかりと聞こえてくる名品である。