遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

竜王VSボナンザ

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 竜王VSボナンザ



竜王対ボナンザ」って、ゲームソフトのキャラ対決ではなくて、

将棋界に存在するタイトルのひとつが「竜王」で、

数ある将棋ソフトの世界チャンピオンが「ボナンザ」という名のソフトで、

渡辺竜王がボナンザと一局交えたということである。



かつて、チェスの世界チャンピオンが、

IBMだったかのスーパーコンピュータと勝負して、

世界チャンピオンが負けた、

つまり人間が負けたその瞬間をVTRで見たことがあったが、

戦慄を覚えた。



将棋界には、羽生というスーパースターがいるが、

彼らの世代から、将棋の学習法が変化してきた。


かつては、棋士が独習するには、

紙に書かれたり印刷された「棋譜(過去の対局の手順を記録したもの)」

を利用し、実際に将棋盤に駒を並べて研究するのが一般的だった。

しかし、羽生世代以降は、PCで棋譜を勉強するようになった。

棋譜は数万単位でネット上に存在し、

容易にダウンロードが可能になり、PC内のソフトによる将棋盤で、

膨大な情報量を分析できるようになったのである。


それからというものは、ヤングゼネレーションの、

PCを効率的に使える棋士の優勢な季節になったのである、今もである。


さて、将棋ソフトもその延長線上にあり、

「ボナンザ」を作った東北大学の院生は、将棋についてはほとんど素人で、

ソフトの頭脳に欠かせない情報源は、6万局におよぶ過去の棋譜なのだとか。


将棋ソフトは、膨大な対局データから最善手を探し出す。

ほとんどのソフトは、プロの対局を参考に無駄な手筋を捨て、

候補を絞り込む方法を採っているようだが、

ボナンザは、全ての可能性をしらみ潰しに調べる「全幅検索」を採用した。

盤上の局面が有利なのか不利なのかを数値化して判断する「評価関数」には、

計算科学で使われる「最適化」という手法を応用したようである。


とにもかくにも、この将棋ソフトはめっぽう強いようである。


チェスは一度取られた駒はそれ以降盤上に登場しないが、

将棋の場合は、獲得した駒は自分の駒として再使用できる。

また、チェスは駒の機能は不変であるが、

将棋の駒は、相手陣地に入ると裏返しなって、歩が金に成ったりして、

俄然機能アップが図れる。


そんな複雑なルールがあるので、

将棋ソフトが人間に勝つにはまだまだ時間を要すると思われていたのに、

ボナンザの登場であった。



早差し対局だったりすると、PCソフトの方に分があるようであるが、

今回の対局、持ち時間が互いに2時間で、なんとか渡辺竜王が勝利したのである。


将棋のビッグタイトル戦の持ち時間は、各6時間である。

そのルールであれば、しばらく人間さまが優勢なのだろうか???


(画像左が渡辺竜王、右はボナンザの作者)