開門時にはすでに灼熱の太陽が京都を焦がしていた。
博物館内はできる限り灯かりを抑えて所蔵物の保護につとめている。
そんな薄明かりのなかに一際燦然と輝くのが「風神雷神図屏風」であった。
「たらし込み」という技法で描かれた黒い雲に乗って、
金箔の空間にジャンと現れた二人の神。
顔は嗤っている、
「これからひと暴れしてやる」といういたずらっ子のような笑顔。
あとは画面に何にもない、何もないけど、
風が見える
雷鳴が轟く。
二曲一双の両端の風神と雷神、
その間の、ちょうど全体の半分のを占めるこの絶妙なる距離感、
宇宙の如き広大な空間であった。
見学者の何人かが、その空間に吸い込まれるように消えた、
きっと幻だったろうけど・・・。
同じ展示室っを宗達の国宝とコの字型に飾るは、
「釈迦金棺出現図(国宝)」と、
作品のための空調の効いたひっそりとした館内で、
休憩をたっぷり取りながら、4時間たっぷり愉しんだ。
まぁすごいのなんの、
「(博物館のはす向かいの)三十三間堂なんざ行ってる場合じゃありませんぜ、
そこのお嬢さんがた!」。