遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

秋冬山水図/雪舟

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秋冬山水図  雪舟      東京国立博物館



■解説
周文,南宋時代の諸大家,明時代の浙派など,多様な様式学習を経て,雪舟は自己の作風を確立した。
たとえば冬景の画面中央から上端にのびる垂直線は調子が強く,この線と周囲の描写との関係は一見
わかりにくい。
しかしこれは,中国の山水画によく現れる,オーバーハングする断崖の輪郭線が極度に強調されたもの
なのである。
このように,構築的な空間構成,強調された輪郭線,また細い線による簡略化された皴法に雪舟様式の
特徴が見出せる。
( 東京国立博物館 http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=X00/processId=00 )


我が国の水墨画の代表作、「秋冬山水図」(しゅうとうさんすいず:国宝 - 東京国立博物館蔵)。


暑いこの季節に、涼しい一作。


作者は、雪舟

雪舟は、五十歳を前に明にわたり、中国の水墨画法を習得して帰国。

その後の作品は重文級のオンパレードとなる。


雪舟のイメージは「静」であろうか、

しかしその老後パワーは、並々ならぬダイナミズムを感じる。



この作品の中央を天に突き抜ける一本の線。

私は、枯れ木だと思っていた。

宙空に突き抜ける枯れ木だと思っていたが、断崖の輪郭線なのだという。



筆のおもむくまま、一気に描きあげた勢いが感じられる、

時には勢いで仕上げる仕事もあり、である。




500年前の、アバンギャルドである。