遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

時計じかけのオレンジ/スタンリー・キューブリック

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  時計じかけのオレンジ     1971年製作



監督・・・・ スタンリー・キューブリック
製作総指揮・ マックス・L・ラーブ、サイ・リトビノフ
製作・・・・ スタンリー・キューブリック
原作・・・・ アンソニー・バージェス
脚本・・・・ スタンリー・キューブリック
撮影・・・・ ジョン・オルコット
美術・・・・ ジョン・バリー
編集・・・・ ビル・バトラー
音楽演奏・・ ウォルター・カルロスほか
キャスト・・ マルコム・マクダウェル


主演のマルコム・マクダウェルの、冒頭の登場時の表情。

そして、ラストシーンもまったく同じ表情のマクダウェル

世にも恐ろしい狼藉者の顔である。

「笑顔」ともいえる。


私はああいう表情の人は避けて通りたいし、

狼藉を働こうものなら、逆らわずにとっとと逃げ出す。



国家権力で狼藉者を徹底的に排除することもできるだろうし、

それがきっと権力者から見たユートピアなのだろう。


逆に、国家全体で狼藉を働くことも一時的には可能であろう。

それも、権力者のつくりあげたいユートピアなのだろう。




雨に唄えば」の軽快なメロディーを口ずさみながら、

ベートーべンの第九に陶酔し、

主人公は自由を謳歌する。


キューブリックは、見事なデザイン感覚とスピード感と、

品のいい選曲で映像を仕上げている。

性や暴力を描くには「こうでなくちゃ」。

脚本は隅々まで研ぎ澄まされていて、

役者の語らせ方が、さすがは本場の英国調、格調高い。

私の大好物の映画!



性や暴力の大行進だけど、

大丈夫、「良い子」は、キューブリックとバージェスのパロディがわかるから、

絶対に主人公の真似はしないし、

したり顔の大人たちに「嵌(はめ)られる」こともない。


逃げろ、若者。



使われた音楽
交響曲第九番ニ短調』(作曲=ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
泥棒かささぎ』序曲『ウィリアム・テル』序曲(作曲=ジョアッキーノ・ロッシーニ
『威風堂々第1/第4番』(作曲=エドワード・エルガー
『メアリー女王の葬送音楽』(作曲=ヘンリー・パーセル
『太陽への序曲』(作曲=テリー・タッカー)
灯台守と結婚したい』(作曲=エリカ・エイゲン)
雨に唄えば』(作詞=ナシオ・ハーブ・ブラウン、作曲=アーサー・フリード、歌=ジーン・ケリー
『シェヘラザード』(作曲=ニコライ・リムスキー=コルサコフ