遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

紙で包む~紙を折る

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折り鶴を折れる割合、女は90%、男は70%だとか。

私も何とか、鶴は折れる。


折り紙は、芸術の域にまで達していて、我が国の折り紙作家は世界的にも有名な人がいるようだ。

正方形の紙で、切れ目を一切入れないで見事な造形を作り出す作家が存在する。


日本の伝統に「紙で包む」「紙を折る」文化がある。



お客の残したお菓子を半紙で包んで持ち帰らせる。

我が家も、そのための半紙を欠かしたことがない。


人様に差し上げるものには、紙などに包んでお渡しする、

こういう文化も、日本特有のものである。


画像は、結婚祝いのセット、熨斗(のし)、末広、金封、目録、片木(へぎ)である。


右側のものは「本熨斗」で、乾燥鮑(あわび)を薄くしたものを包んでいる。

今は印刷された熨斗が一般的である。


左が、扇子を包んだ「末広」であり、広がり栄える意味をこめている。


中央のものが、金封と目録。お金を包む、品物を送るときは目録に記す。

いただく方は、これだけで充分なのである。

これくらいの一揃いだと、中身は10万円は下らないといったところか。


セットが置かれている白木の台が、片木である。


紙の折り方も、いろいろあるようだが、

私たちは画像のような市販のものを買ってくるだけのことであり、

手漉(す)き檀紙、顔料染め赤紙、京水引を使って、

包んで折るのは、プロ任せになった。



だん‐し【檀紙】
和紙の一。楮(こうぞ)を原料とし、縮緬(ちりめん)状のしわがある上質の和紙。
大きさによって大高・中高・小高に分けられ、文書・表具・包装などに用いられる。
平安時代には陸奥から良質のものが産出されたので陸奥紙(みちのくがみ)ともいった。
さらに古くは、檀(まゆみ)を原料としたので、真弓(まゆみ)紙とも書かれた。


みず‐ひき【水引】
細いこよりにのりをひいて乾かし固めたもの。進物用の包み紙などを結ぶのに用いる。
ふつう数本を合わせて、中央から色を染め分ける。吉事の場合は紅と白、金と銀、金と赤など、
凶事の場合は黒と白、藍と白などとする。


のし【熨斗】
方形の色紙を細長く六角形にひだをつけて折りたたみ、中に熨斗鮑(のしあわび)の細片を包んだもの。
祝儀などの進物に添える。熨斗鮑の代わりに昆布(こんぶ)や紙を用いたりする。
近年はふつう熨斗紙が用いられる。





さらに、お祝いセットを黒塗りの広蓋(ひろぶた)にのせ、

その上に塵よけの富久紗(ふくさ)を掛け、八端(はったん)織りなどの風呂敷に包み、

さらに家紋入りの白山紬の風呂敷に包む。

これらは贅沢なものなので、汚れないように、さらに唐草などの木綿の風呂敷で包み持参する。



ひろぶた【広蓋】
縁のある漆塗りの大きな盆。

ふくさ【富久紗】
儀礼用の方形の絹布。絹・縮緬(ちりめん)などで一重または二重に作り、無地やめでたい柄・
刺繍(ししゆう)を施したもの。進物の上に掛けたり、物を包んだりするのに用いる。
掛け袱紗。包み袱紗。

はったん‐おり【八端織(り)・八反織(り)】
一反が普通の絽(ろ)の八反の重さに相当するところからいう。
練り糸を用いて、縦・横に褐色と黄色の縞模様を表した厚地の絹織物。
丹前や布団地などに用いる。綾糸織り。

はくさんつむぎ【白山紬】
石川県で織られる紬の織物で、かつては釘に掛けて引っ張っても破れないほどの強さを
持ったことから釘抜き紬とも呼ばれた。



お祝いを包んで持参する、その一揃いの中に、日本の伝統的なわざが凝縮されている。


和紙を漉き、水引を縒って結んで、機を織り、生地を染め、漆を塗り、家紋をデザインする。




紙で包む、紙を折る。

芸術的な折り紙もいいが、生活に根差した、ものを包むために紙を折るという文化が、

素晴らしい。かっこ良い文化である。