遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

笑う警官/M・シューヴァル&P・ヴァールー

イメージ 1

「笑う警官」 マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー (著), 高見 浩 (翻訳)
       角川文庫 価格: ¥693 (税込)


スウェーデンの夫婦共著の、警察小説である。


この作品は、刑事マルティン・ベックシリーズの代表作であり、

警察小説の代表格と言ってもいい作品である。

この作品で、1971年のMWA賞〈Mystery Writers of America〉最優秀長編賞を受賞している。

ちなみにこの前年には「罰金」でディック・フランシスが、

翌年には、「ジャッカルの日」でフレデリック・フォーサイスが受賞している。


ベックシリーズは、ペール・ヴァールー(夫)の死で、

10作を数えて完結している。



私が読んだ文庫「笑う警官」は、赤い警官のシルエットの表紙であった。

いつも表紙が変わるたびに思うのだが、前のほうがおしゃれでカッコよかった。

たぶん、思い入れが入っているせいでもあるが…。




舞台は、ストックホルム

2階建てバスの乗客たちが、機関銃を使った凶悪事件に巻き込まれる。


派手なドンパチは冒頭だけ。

クルマが操作の手がかりになるのだが、

北の国の人たちの、この小説の場合は、ベック刑事たちの、

粘りのある仕事振りを愉しまれたい。


小説のムードが他に例を見ないのは、ストックホルム独特の空気のせいかもしれない。

大人の国の大人の小説である。