1967年制作
フォギーマウンテン・ブレイク・ダウンという、
ブルーグラスの名曲をバックに、ボニーとクライドが逃げる逃げる。
いわずと知れた、アメリカン・ニューシネマの元祖は、この映画である。
ダナウェイはクレジットで自分の名前をタイトルの前に出してもらう為に、6万ドルの出演料から2万5,000ドルを払い戻し、監督たちの要請でグレープフルーツとゆで卵だけの減量を行い、13キロも体重を減らして恐慌時代のやつれた風貌を作り上げる。
世に打って出るというのは、かように根性を据える必要がある。
この映画は、フェイ・ダナウェイの映画だったのかもしれない。
脚本は、ジャン・リュック・ゴダールかフランソワ・トリフォーによって、
映画化されていたかもしれないという。
もし、ハリウッドでこの映画が作られていなかったなら、
映画の歴史は変わっていたかもしれない。
私は、73年のリバイバル上映を観ている。
あの、ラストシーンは事前に承知の上で観ていた。
だけど、ボニーとクライドが逃げおおせないと分かりながら、
逃げろ逃げろと思いながら観ていた。
しかし、ボニー&クライドは逃げてなんかいなかった。
フォギーマウンテン・ブレイク・ダウンをバックに、おしゃれに着飾り、
彼女たちは、軽やかに時代に斬り込んでいった。