遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ふるさと・春が来た/高野辰之・岡野貞一

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今日は朝から、自宅近くでウグイスが鳴いていた。

ようやく、里に降りて来たようである、春である。


何度トライしても「ホーホケキョヶ」と、最後に「ヶ」がついていて、

いま少し練習がいるようである。

前半は完璧なだけに、惜しいのである。



          春が来た 春が来た どこに来た
         
          山に来た 里に来た 野にも来た



童謡「春が来た」は、作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一の名曲である。

こんなにシンプルなのに、明るい光と暖かい空気を感じられるのは、

作詞作曲の2人の才能あるあかしだと思う。


高野は、長野県の今は飯山市編入された雪深い里、豊田村の出身である。

彼の詩には、都会で思うふるさと豊田の里の風景や、人々の営みが感じられる。

そして、岡野にはその郷愁を一切壊さないメロディを生み出す才能が宿っている。


  ■故郷(ふるさと)

          兎追いし かの山              小鮒(こぶな)釣りし かの川

          夢は 今も めぐりて        忘れがたき 故郷(ふるさと)


          如何にいます 父母(ちちはは)   恙(つつが)なしや 友がき
 
          雨に 風に つけても      思い出ずる 故郷


          志(こころざし)を はたして   いつの日にか 帰らん
         
          山は 青き 故郷              水は 清き 故郷



高野と岡野の代表作である「故郷」は、私の最も好きな日本の歌のひとつである。




そして、さらに春の名曲をふたつ。


   ■朧月夜(おぼろづきよ)

     菜の花畑に          入日薄れ
     
          見わたす山の端(は)      霞(かすみ)ふかし
          
          春風そよ吹く                空を見れば
          
          夕月かかりて                匂い淡し


   ■春の小川

          春の小川は                   さらさら流る

          岸のすみれや                 れんげの花に

     すがたやさしく               色うつくしく

          咲けよ咲けよと               ささやきながら



この2人の名作から、春がもうすぐやって来る。