遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

三銃士/アレクサンドル・デュマ

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三銃士〈上・下〉 アレクサンドル・デュマ (著)、 生島 遼一 (翻訳)

岩波文庫  価格: ¥798 (税込)



小学生の私が読んだ、おもしろ「翻訳」物語は、

巌窟王モンテクリスト伯)、宝島、十五少年漂流記、小公子、小公女、

フランダースの犬、王子と乞食、若草物語、アンクルトム、トムソーヤの冒険、


などなど。番外で面白かった伝記が、ベーブ・ルースシューベルトエジソン


あと、文句なしに面白かったのが、アレクサンドラ・デュマの「三銃士」であった。

もうひとつのデュマの代表作「モンテクリスト」と双璧の面白さであった。


「三銃士」の舞台は17世紀初め、世情いまだ穏やかならぬルイ13世治下のフランスである。勇気と才覚を武器に出世の道を切りひらこうと、パリにやってきた青年ダルタニャンが到着早々出会ったのは、3人の近衛銃士―沈着冷静な武人アトス、人の好い豪傑ポルトス、そして詩人はだで聖職者志望のアラミスだった。友情に固く結ばれた4人の活躍が始まる。

小学生向きの宣伝文句なら、上のままでいいであろうし、

私の遠い記憶も、この範囲から一歩も出るものではなかった。


しかしながら、この度読み直した大人になってからの岩波文庫は、

どろどろとした、ややこしい物語になって来る。


銃士たちの友情・冒険物語に、色恋物語・愛憎物語が付け加えられ、

俄然ややこしくなるのである。小学生向きではない。


下巻にいたっては、ミレディーという、

20台半ばの絶世の美女に、多くのページが割かれている。


この絶世の美女は、同時に、悪魔の使いのような女で、

極悪非道を地で行く、生粋の悪女で、

クライマックスは、三銃士+彼らの仲間vsミレディーという対立軸になってゆく。


なぜ、女一人に男が束になって挑まなければならないのか。

「妖艶なる絶世の美女」は、剣よりも強しなのだ。


ミレディーは、「三銃士」の裏主人公なのである。


男が寄ってたかって、うら若き美女に翻弄されることは、

世紀を超えて通奏低音として、現代にも流れているかもしれない。


17世紀の話を、19世紀にデュマが著し、21世紀に私たちが読む。

デュマが創り上げたエンターテイメントは、永遠に不滅である。




モンテクリスト」は、文庫で7巻。

こちらは、さらにさらに面白いが、少し長すぎる、かもしれない。

読むべきか否か、それは問題である。