遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「新宿鮫」シリーズ/大沢在昌

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新宿鮫」シリーズ   大沢 在昌


   新宿鮫              

   毒猿―新宿鮫〈2〉

   屍蘭―新宿鮫〈3〉

   無間人形―新宿鮫〈4〉

   炎蛹―新宿鮫〈5〉

   氷舞―新宿鮫〈6〉

   灰夜―新宿鮫〈7〉

   風化水脈―新宿鮫〈8〉


1990年の第1作「新宿鮫」で吉川英治文学新人賞および日本推理作家協会賞をダブル受賞、

4作目の『無間人形』で直木賞を受賞した著者大沢在昌の代表的作品群である。

このシリーズは1990年から2000年までの10年間に8冊上梓(じょうし)されている


私がこのシリーズと出会うきっかけは、

偶然書店で手に取った宝島社の「このミステリーがすごい」である。

略して「このミス」である。最近は買っていないが、一時は大変お世話になった。



以後、大沢在昌が大のお気に入りになった。


新宿鮫」の由来は、新宿署の刑事・鮫島が主人公だからである。


鮫島は、キャリアとして警察に入ったが、

簡単に言うと、上層部に逆らったがために、現場回りをしているという設定。


頭は切れるが、組織となじまない一匹狼で、

しかし、「悪」は絶対許さないというカッコよさ。

だから、警察権力内では嫌われ者の一匹狼に似た、一頭の「鮫」なのである。

10年間、鮫島の姿勢は一貫しているし、恋人も変わらない。


警察小説であるが、警察の闇の部分も出てくるし、

当然に犯罪組織(ヤクザや中国マフィア等)もリアルに登場し、

鮫島は、時に両方と対立して孤軍奮闘する。

ま、警察内には常に鮫島のシンパサイザーは居てくれるのだが。


こんなにカッコいい刑事絶対いないから、

警察小説というより、ハードボイルド色が強いか。


愛車がBMWで、恋人がロックシンガーというのも、分かり易い設定である。

私なら無責任に、アルファ・ロメオに乗せて、

恋人は学生時代の同級生で、財務省キャリアにする。


シリーズ8作のどれも、いろんな犯罪者が登場し、飽きさせないないが、

中でも、第2作の「毒猿」が1番スゴイ、断然面白い。


もっとも、私にとっては大沢作品は、どれもこれも大好物である。

走らなあかん、夜明けまで


★20世紀傑作ミステリーベスト(日本推理作家協会全会員アンケート)
《国内部門》
第13位  毒猿―新宿鮫〈2〉
第14位  新宿鮫