遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

羊たちの沈黙/トマス・ハリス

羊たちの沈黙  トマス ハリス

菊池 光 (訳) 文春文庫 価格: ¥820 (税込)

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翻訳ミステリとあまり縁がないお方でも、

羊たちの沈黙」、これは例外なのではないだろうか。

つまり、読んでいる。?


私は、原作を先に読み、のちに映画を観た。

双方甲乙付けがたい名作中の名作である。


犯人探しのヒントをハンニバル・レクターに尋ねにくるFBI調査官クラリススターリングが、

このストーリーの中心をなす。


レクターが興味を示すのは、クラリスと、彼女の心の闇である。


クラリスの心の闇で啼く羊たちを、沈黙させるハンニバル


凶悪犯の捕捉のヒントをもらい、

静かになった羊たちを胸に、

奔走するクラリス

自己実現のために、FBIハンニバルに報いるために、奔走する。


この二人を創り出したトマス・ハリスの力には、

もうひれ伏すしかない。

ディテールもストーリーテラーも、非の打ちどころがない。ないのだ。


ミッションを遂行する推進力は、

変化していく自分を見つけることができる喜びの中に在る。と思う。

それは、FBI捜査官だけのことではない。



★20世紀傑作ミステリーベスト(日本推理作家協会全会員アンケート)
(海外部門)第1位




映画も、文句なしに素晴らしかった。

主題曲も、哀しく懐かしい。

●監督:ジョナサン・デミ
●原作:トマス・ハリス●脚本:テッド・タリー
●撮影:タク・フジモト ●音楽:ハワード・ショア
●出演:ジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンス
 スコット・グレン/テッド・レヴィン/アンソニー・ヒールド
1990年アメリカ作品

キネマ旬報「オールタイムベスト・ベスト100」外国映画編(1999年版)
第32位

私の採点=☆☆☆☆★★
(☆=20点 ★=5点)