遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

代々木競技場第1体育館/丹下健三

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今年、墓碑銘にその名を刻んだ建築家 丹下健三

3月22日に91歳の生涯を終えられた。

プロフィール↓
http://www.ktaweb.com/profile/index.html

主な作品群は以下のとおり。
http://www.ktaweb.com/profile/works.html


今日から3日間、全日本フィギュアスケート選手権が、

国立代々木競技場第1体育館で開催される。

2ヵ月後のトリノ・オリンピック行きの切符は、3枚。

あ、「3枚」は、女子シングルのことである。(男子は1人枠、みな頑張れ。)


代々木競技場の建物は、国立競技場や武道館らとともに、

1964年の東京オリンピックの競技用に建設された。

これらのうち、代々木競技場の建物を設計したのが、丹下健三であった。


当時、小学生だった私は、この斬新なデザインに感動した。

今まで見たことのない、その形に興味をそそられた。


東京オリンピックの記念切手にも、丹下の作品群が採り上げられた。
http://www.kitte-net.com/00kitte/olinpic/olinpic.htm


構造や機能も、自然光が差し込む「吊天井」という、

小学生には、想像を絶する代物であった。


この体育館内の、当時世界一泳ぎやすいスイミングプールで、

米国のドン・ショランダー(水泳)が、端正な泳ぎで世界記録をうちたて、

体操のベラ・チャフラフスカ(チェコ)が、麗しい演技で大輪の花を咲かせた。

この二人は、世界中の観客を魅了した。


おませな私は、女子背泳のキャロンという、フランスのお嬢さんに

うっとりとしていた。

ネックレスをして、水泳競技に出場していたような記憶があり、

背泳の実力も確かな女子であった。


私は、「昔のことをよく憶えている」と言われるが、

東京オリンピックにまつわることは、特によく憶えているのである。


東京オリンピック以前、以後、と言ってもいいほど、

私の意識は変革された。

もっとも思い出に残るイベントであった。


そのひとつが、丹下健三の競技場であった。

最初に出会った建築家が、丹下健三であった。

若い頃の彼は、コルビジェに傾倒したようである。

丹下も、いつ見ても、偉ぶったところのない静謐な感じの方であった。

素晴らしい作品を残して、丹下は、早春に逝った、ご冥福をお祈りする。



私は目下新居を建築中。着工が遅れに遅れている。

我が家の設計をしてくれた設計士が、

工務店側にいろいろ注文を付けてくれているようだ。

まだ着工していないのに、有難いことだ。


耐震偽造事件以降、自宅建築に関して先を急がなくなった。


名もなき、志を持った建築家が、今回の事件をきっかけに、

真っ当に食べていけるようになればいいと思う。

長持ちする、対価に見合った、暮らしやすい、壊れない家は、

彼らの力なしには考えられないからである。


主要作品

広島平和記念資料館 2005年1月撮影
WHO神戸センター広島平和記念資料館広島平和記念公園(1955年)
東京都庁舎(1957年)
香川県庁舎(現・東館)(1958年)
東京計画1960(1960年)
東京カテドラル聖マリア大聖堂(1964年)
東京オリンピック国立屋内総合競技場(代々木体育館)(1964年)
戦没学徒記念館(1966年)
山梨文化会館(山日YBSグループ14社)(1967年)
ユーゴスラビア(現在のマケドニア共和国)・スコピエの都市計画(1966年~72年)
静岡新聞静岡放送東京支社(山日YBSグループ東京支社も使用)(1967年)
電通旧本社ビル(1967年)
静岡新聞静岡放送本社ビル(新聞放送会館)(1970年)
日本万国博覧会会場・基幹施設計画、お祭り広場(1970年)
草月会館(1977年)
ハナエ・モリビル(1979年)
赤坂プリンスホテル新館(1982年)
兵庫県立歴史博物館(1983年)
ナイジェリア・新首都アブジャの都市計画(1981年~85年) 
シンガポール OUBセンタービル(1986年)
大津プリンスホテル(1989年)
広島国際会議場(1989年)
横浜美術館(1989年)
君津市民文化ホール(1990年)
東京都庁舎(1991年)
兵庫県人と自然の博物館(1992年)
新宿パークタワー(1994年)
シンガポール UOBプラザ(1995年)
ナポリ新都心計画(1995年)
フジテレビ本社ビル(1996年)
WHO神戸センター(1998年)
香川県庁舎(2000年)
ベアズパウ・ジャパン・カントリークラブクラブハウス(2000年)
東京ドームホテル(2000年)