大相撲七月(名古屋)場所、照ノ富士がすんなり優勝したのかと思いきや、そうではなかったようでした。
ミルクボーイの内海(角刈りの方)が付けている丁寧な星取表(上の画像)を見ていてそのことを知りました。
以前、能町みね子の星取りノートに感心したことがありますが、内海の星取表もきれいに書けていて、これは相撲好きで字を書くのが苦手ではない人ならではの星取表だと感心しました。内海は書道の段位持ちで、毛筆もきれいに書くことができます。
照ノ富士は千秋楽の結びで隆の勝に敗れて、12勝3敗に並ばれたその隆の勝との優勝決定戦を制して10回目の優勝を決めました。
休場が多い照ノ富士ですが、たまに出場すれば優勝してしまうところが素晴らしいと思います。今年も2回優勝しています。
彼は足の大けががなかったら、30回は優勝していたでしょうし、あの大けがをした時に無理をして出場を続けていなかったら、もっと回復が速かったのにと思うと残念であります。
それでも、足に負担をかけない取り口を研究し、人一倍稽古をして努力の日々を続けていることが想像に難くありません。
持って生まれた才能と身体能力が陰りを見せても、それを補うキャリアと技術と辛い稽古で実力を発揮できるのでしょう。すばらしい。
それにしても、横綱はおろか大関になってもその地位にとどまれない他の力士たちはどうなのでしょう。
横綱は地位陥落という制度がありませんが、大関は2場所連続で負け越すと(休場も含む)、関脇の地位に降格となり、その地位で翌場所にワンチャンスで10勝以上しないと大関に返り咲けない規定になっています。
霧島は今場所そのワンチャンスに賭けていましたが、勝ち越したものの大関に返り咲くはなりませんでした。
また貴景勝が、今場所負け越したことで、来場所は関脇に陥落しワンチャンスに賭けることになります。
これで来場所の元大関の幕内力士は、貴景勝、霧島、朝乃山、御嶽海、高安、正代の6人となり前代未聞の番付となります。
2場所負け越しで大関を陥落する規定では、年6場所の開催頻度では体調管理が難しくて、横綱になるチャンスは極めて難しくなっています。昭和の時代に比べると力士の体格は相当大きくなっていて、その分ケガも増え重症になるケースも多くなっていると感じます。
また、かつては場所中のケガは「公傷」として、休場しても番付が落ちない制度がありました。
ですから、力士の大型化によるケガの多発と公傷制度の廃止などで番付維持が難しくなっていると思います。にもかかわらず、相撲協会は「改革能力」がないようですが皆さんいかがお考えでしょうか。
このたびの照ノ富士の優勝で、優勝パレードのオープンカーに後援会長の萩生田光一が乗っていたことでSNSでは「裏金議員は引っ込め」「照ノ富士が気の毒だ」などと非難ごうごうの炎上ぶりでした。たしかにただでさえ狭い席に、図体のデカい萩生田が座っていて、暑苦しいわ見苦しいわで興ざめでありました。恥知らずも甚だしいと相撲ファンはお怒りでありました。
将来、もし萩生田が横綱審議会入りなどすれば、相撲協会の改革はますます遠ざかること間違いなしですから、いまのうちに力士にとってどういう環境づくりをすればいいのか、協会や横審やファンの声を参考に大相撲の持続性を考えてもらいたいです。
ということで、大相撲は琴櫻と大の里の両横綱誕生が待ち望まれるところですが、その前にいろいろやることなすことがありそうであります。