遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

懇願しても失格にされた加藤未唯選手は、難民申請をしても強制帰国させられる日本への難民を彷彿させる

テニスの4大大会のひとつ全仏オープン混合ダブルスで、加藤未唯ペアが優勝しました、アッパレ!

加藤は、女子ダブルス3回戦で、返球した際にボールガールの後頭部に球があたったことにより、その行為が故意によるものだとされ失格処分になっていました。

私は動画を見るまでは、加藤が力任せに返球した球がボールガールの頭を直撃したのだと思っていました。(なので、実はその動画は見たくないなと思っていました。)

しかし、加藤ペアが失格・反則負けとはあまりにもひどい判定だとして騒ぎが大きくなってからようやく目にした動画を見たら、故意ではないことは誰の目にも明らかなものでした。加藤のパートナー選手はインドネシアのアルディラ・スーチャディ選手でした。

「あれで失格になるのは、アジア人ペアならではのことだ」と私はすぐ思いましたが、モーニングショーで玉川徹が沢松奈生子に私が感じた同じことを質問していましたし、かつての加藤のコーチも「アングロサクソンのペアでは失格にならなかったかも。アジア人だから差別があったのでは」と感想を述べていました。

加藤が失格になった試合で、審判は「偶然だった」と加藤の故意を否定していましたが、相手側の選手(スペインとチェコのペア)の猛烈な抗議で大会主催者側に判断をゆだねた結果、加藤ぺアは失格と判定されました。

加藤は「(故意ではないことが判定できるので)ビデオ動画を見てほしい」と懇願したにもかかわらず、主催社側は「ビデオを見ることはできない。アンラッキーだったね」と突っぱねました。

この失格について、日本のプロテニス協会は正式に抗議をしていますが、ナブラチロワをはじめとするテニスプレーヤーや、加藤ペアの一連の動画を見た世界中のメディアや一般の人たちも、この裁定に関して、ビデオを見ることをしないルールについて、相手の選手の品格などについて問題視をしたり強い非難をしています。これが今回の失格問題の国際基準なのです。

ことほどさように、後日行われた混合ダブルスの加藤ペアは、試合会場で観客席からの熱い応援を受け続けてとうとう優勝までしてしまいました。

さて今回の加藤選手の失格問題ですが、これはえん罪事件にも似ているし、難民申請をしてけんもほろろに帰国させられる日本に来た難民の人たちを想像させられます。

「ビデオを見ることはできない。アンラッキーだったね」と全仏主催者に突っぱねられた加藤未唯選手は、難民申請をしても、申請書類をろくに見ない参与員に「不適格」とされ帰国させられる難民によく似ていると思います。

参与員も不適格だし、そういう参与員を重宝がる政府も国際基準から外れていて、世界中から非難を受けるものです。

人は生まれながらにして人権があり、ワンちゃんや猫ちゃんよりも軽々しく扱われる人間が地球上にいることは、人としてがまんがならないことだと思います。

加藤選手の今回の問題で、右も左も上も下も関係なく、日本中が加藤選手側に身を置いて立腹したり不条理を感じていますが、入出国・難民問題もそれと同じではないでしょうか。

(比較的)恵まれた国日本が、多くの困っている移住民や難民を受け入れることをそろそろ考えて法整備しようという流れになっていいのではないでしょうか。にもかかわらず、昨日国会の法務委員会で強国採決された改正入管法案は、国際基準を逸脱した改悪だったわけで、懇願する人を排除する非人道的なことであります。

ということで、国会での非人道的な法案の強行採決を阻止しようとした心ある議員(立憲・共産・社民・れいわ)たちは、故意でなかったと主催者に懇願する加藤選手に与した日本の世論と根は同じだということが、分かる人になれてよかったなと思うきょうこの頃であります。

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