遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

氷川きよしは紅白の概念が嫌で紅白歌合戦を卒業する?

十数年前、一視聴者としてNHKの番組モニターをしていました。

まだNHKが健全だったころで、報酬も貰えたので番組の作り手の期待に応えようと、本職よりまじめにモニター活動(NHKに番組単位のレポートを送る仕事)をしました。

あまりにもまじめだったせいもあってか、1サイクル6か月のモニター期間だったのですが、採用のためのレポート提出を経て何度かモニターに選ばれることになりました。

6か月の期間中に、番組ごとに簡単な選択式設問アンケートに答え、良かった点や悪かった点について記述式のレポートを書くのがモニターの仕事です。その対象となる月10本程度の番組は、半分は多くの候補番組から自選でき、残り半分はNHKが指定してきます。

そして、必ず指定番組となるのが「紅白歌合戦」でした。

私は、紅白のレポートを3回くらい書いたと記憶していますので、10月から3月の間のモニター経験が多かったのかもしれません。

あの長時間の生放送番組を録画して、後でそれを見ながらレポートを書くわけですが、もともと紅白を見ていない人間からするとなかなかつらいものがあって、しかも締め切り(放送日から2~3日後くらいまでだったか)があるので、当時は年始から紅白の録画を見ながらレポートを書いていたということになり、なかなかタフなモニター生活だったわけです。

でもさすがはNHKの看板番組ですから、長時間の生放送でよくもああいう番組を作っているなと、特に舞台設営やライティングや大道具の転換などが大掛かりな舞台演出に感心する場面が多々ありました。臭い演出を除けばなかなかの力作番組だったと、毎回一様に評価した内容のレポートを提出していました。

さて、時あたかも紅白の出場歌手が決まるシーズンなっていまして、まったく興味のないニュースなのですが、氷川きよしが今年で紅白を卒業するとかしないとか、なんとかというグループが白組から出場するとか、そんな紅白ニュースが漏れ伝わってきます。

そういえば、私は当時のモニターレポートに、「紅白のどちらが勝つか負けるななどというのはつまらないからそろそろやめて、年末にいま最も旬な歌手が一堂に会して歌うだけの歌番組にすればどうか。それだけでも素晴らしいことだがいかがだろう。」などと、「紅白歌合戦」というタイトルもモチーフも破壊するような意見を書いていたと思います。

モニターをしていた時期だけ「紅白歌合戦」の視聴をしていた私でしたが、当時のレポートに記した意見は今も変わりません。

さらに付け加えるなら、紅組が女性で白組が男性というのも、今となっては昭和の時代の概念ではないでしょうかという意見です。

男女という概念が少しずつ薄れてきている社会ですから、「紅白」「男女」の勝ち負け歌合戦はやめた方がカッコイイと思います。スタジオで演奏録画をして放送で流すだけでもいいかもしれませんね。

ということで、紅白は源平の旗の色の起源にまでさかのぼるだけにしたらどうでしょうかという私の意見でした。

ひょっとしたら氷川きよしクンは「紅白」の概念が嫌で卒業するのではないかと思ったしだいであります(いや絶対違うでしょという声が...)。