遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

将棋のプロ棋士編入試験の二人・里見香奈女流五冠と小山怜央アマ六段

里見香奈女流五冠と小山怜央アマチュア六段

プロ棋士編入試験を受けていた里見香奈女流六段・女流五冠は、昨日同試験で三敗目を喫し編入試験をパスできませんでした。

編入試験は8月から実施されていましたが、その間の里見のスケジュールは多忙を極めていたこともあり今回の試験対局はうまくいきませんでした。

彼女は対局後のインタビューで実力が足りなかったと述べていましたが、対局過多による疲れがあったと思います。

また資格条件が整えば彼女が再度受験できるのかどうかは分かりませんが、ひとまずはお疲れさまでした。

彼女が編入試験を受たという新しい歴史を作ったことは、これからの女流棋士にとっては大きな出来事だったと思います。後に続く女性が多く出てくることを祈るばかりです。

私見ですが、一般的な仕事には男も女も就いていて、男女差はないと思うのですが、将棋に関しては性差が出てくるような気がします。闘争本能の差が出てくるように思います。分泌されるホルモンの性差があってそれが将棋というゲームに影響しているように感じられます。

囲碁や麻雀などのプロのプレイヤーの男女差に比べると、将棋の女性プロの数がゼロだということがそのことを表しているように思います。将棋はボディコンタクトのない格闘技に近いゲームで、女性に少し不利なのかなあと思うところで、そういう意味からも、将棋のプロ棋士への登竜門をもう少し広くする工夫も必要かなと思います。

一方で、里見が編入試験を戦っている間に、もう一人同じ資格条件が整ったアマチュアの方(小山怜央(れお)さん29歳・男)が出てきました。

彼もまた異色の資格取得者で、将棋連盟の奨励会(プロ棋士養成機関)に所属経験がないアマチュアだそうです。

マチュア界でプロ棋士にも勝るとも劣らない実力の持ち主は、元奨励会に所属していた人たちなのですが、小山さんは子どもの頃から全国レベルでも上位に位置する強いアマチュアだったようで、現在は正職を持つ社会人だそうです。

編入試験の資格を取得した直後の記者会見では、家族と相談して今後のことを決めたいとしていましたが、9月28日に正式に受験を申請しました。

試験は五番勝負で11月から1カ月に1局ずつ行われ、小山さんは3勝すると合格しますが、対局を行う試験官は里見女流五冠と同じ徳田拳士、岡部怜央、狩山幹生、横山友紀、高田明浩の各四段が務めまする。

徳田拳士、岡部怜央、狩山幹生の三人は、里見との対局を見ましたが強いです。さすがは、地獄のような奨励会三段リーグを勝ち抜いてきただけのことはある実力者揃いで、勝つための技術を備えています。

新たなる挑戦者である小山怜央アマ六段は奨励会に属していなかったので、蓄積疲労がないというか「使い減り」していないアマチュアかもしれません。

彼の編入試験が中継などで見られるのかどうかわかりませんが、新しいルートで頂上を目指す人をまた見てみたいと思うところです。合格を祈っています