遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

菅の弔辞と石橋湛山の山県有朋への痛烈な「死もまた社会奉仕」

私は目にしていないが、安倍元首相の国葬で弔辞を読んだ菅義偉

昨年の広島での平和記念式典で「原稿がのりでくっついて剥がれなかった」ことが原因であいさつを読み飛ばした前科があるので、国葬ではそれもなく読み切ったからか、「伊藤博文を失った山県有朋が詠んだ歌」を弔辞の最後に使ったからか、会場から拍手が湧きあがったそうだ。

「まるで恋文。菅先生らしい温かいお気持ちが溢れていた」とツイートする卦体(けたい)な自民党国会議員も現れて、時の武道館はお化けや妖怪が詰まったつづらの箱状態だったわけだ。

国葬中継をあえて見なかったが、なかなか面白い見世物小屋だったようだワ、残念。

菅の弔辞に大きな拍手を最初にした人物が前の全国市長会会長の松浦正人だそうで、この拍手が会場に伝播したようだが、松浦は安倍に近い人物だったようで、弔辞に電通は絡んでいなかったようだが、「しめやかな国葬なのに拍手」には電通の演出があったかもしれない。

また、この菅が読んだ弔辞は使い回しだったようで、山県の歌は安倍晋三自身が葛西敬之JR東海名誉会長の葬儀の際にFacebookに投稿していたらしい。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/312249
https://lite-ra.com/2022/10/post-6232_2.html

この葛西敬之も安倍に近い人物。
森友事件のあの「安倍晋三記念小学校」を卒業後は「海陽中等教育学校への推薦入学制度がある」という生徒集めのシステムを記憶しているが、その「海陽学園」は、葛西が中心となって設立した中高一貫校であることで私は葛西を認識した。
https://daily.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1488753427/

葛西は元国鉄マンで、国鉄を分断民営化した事務方の中心人物で、民営化後は一番おいしいJR東海に移った。葛西の尊敬する人物も山県有朋だったよう。

日本は、いまだにチョンマゲを切ったばかりのオッサンや爺さんたちが壺を売って生計を立てていても何の違和感もないお国のようだ。

山県有朋は、菅野長治の後ちょっとしたトレンドにもなっているようで、ネットでは次のような声もあがっている。
《山形有朋は悪人だったもの、アレ元総理とそっくりだね》《菅は弔辞をこう締め括りました。「かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」――いうまでもなく日清・日露の戦争を先導した軍人政治家・山形有朋の言葉です》
《菅さんの弔辞には感動したが、山形有朋で?と思った。まぁ本を読んでいた話だけど、山形有朋って軍隊、賄賂のイメージが強いので笑、、まぁ歴史評価はいろいろあるけどね。ここは嘘でも笑、渋沢栄一とか、論語とかと言っといたらよかったのになぁ笑笑》

佐高信がこう書いている。
《私がやはり石橋湛山の言論の中で一番すごいなと思ったのは、元老の山縣有朋という、いわばさまざまな老害の政治を続けた人ですが、その山縣有朋が亡くなったときに、石橋湛山は、「死もまた社会奉仕」という痛烈な文章を書いたわけです。「死ぬこともまた社会奉仕だ」と。「山縣有朋のような人間が亡くなることは、いわば社会のためにいいのだ」というようなことを書いた。一応私も辛口評論家だとか言われますけれども、そこまでは書けないと、飛び上がったような覚えがある。》

10mtv.jp

ということで、今年相次いで亡くなった葛西敬之安倍晋三には石橋湛山の言葉を捧げたいと思うきょうこの頃である。