最近、タイトルを見ただけで興味をそそられる本が目白押しで、次々に読んでみたい本が書評などにあがってきます。
しかし、私の読書速度ではとてもすべてを読み切れませんので、タイトルとサブタイトルだけで本書の中身を想像してブックレビューをしてみたいと思います。
タイトルだけで妄想する仮想ブックレビュー。その3
気になったタイトルの本は
映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形 稲田豊史 光文社新書 990
【以下、読まずに想像レビュー】
「ファスト映画」現象は、モーニングショーでも話題になっていましたが、私の記事「週刊誌や新聞の書評で取り上げられた本」の中で本書は6回も登場した話題の本です。
本書を知るまでに、VTRなどのCMを読み飛ばすとか見たくないであろう箇所を部分的に読み飛ばす行為、要する情報として取り込まない作業をやり続けてはいましたが、情報をできる限り全部取り込むために「早送りで見る」という概念は私にはありませんでした。
早送りでコンテンツを見る行為はストーリーも含めて評価するための行為です。「すべて見たよ、あれは面白かったね、良かったね」と言いたいための早送りで見る行為なのだと思います。それを見ていないと仲間外れにされることを避けるための行為、時間をかけずに情報通になるための行為なんでしょうか。
たとえば、1.5倍の速度で早送りで鑑賞してその作品を認める人たちに安易に仲間入りする、あるいはSNSなどでそのコンテンツを評価し同意を得ることは、少し大げさに言うと身を守るための行為で今どきの若者の行動様式のひとつとして分からなくもない気がします。
「いいね」「ナイス」をたくさんもらって、人と繋がったり居場所を見つけるという承認欲求を満たすために、ない時間を割いて「早送り」で暮らす時代になって来たようです。
若者でなくとも、先に書いたように私のような老人(残された時間が少ないので)でも「早送り」「ショートカット」を実践している場合もあります。
ただし、本を読むとかドラマや映画を見るという行為は、幸福との出会いをしっかり受け止めたいので、できる限り事前の関連情報やネタバレを避けますし、早送りどころかできる限りゆっくり楽しみたいと思っています。また、事前に情報を持っていたり見た経験がある美術や景色などは、都度新しい出会いがあるのでそれを何度も享受したいと思っています。
社会的地位や学歴だけで、容姿だけで、血液型だけで「早送り」の人物評定をする行為と似ていて、情報処理を早くすることによって間違えてしまうこともありますので、自分の身体や財産を傷つけてしまったり失ってしまったりするので、生命・財産にかかわるようなことには慎重になるべきだと思います。
そういうことも含めて、今どきの若者は巧く生きているのでしょうけど、失敗しないために、騙されないためには、それ相応の情報の処理時間が必要だとも思うわけであります。