遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大阪IRカジノは万が一オープンしたとしても早期に撤退できる道をつけておくべし

 

大阪府が誘致しようとしているIR(カジノを含む統合型リゾート)を巡り、吉村洋文・府知事に対しカジノの賛否を問う住民投票を実施するよう求める直接請求署名運動期間(3月25日から5月25日までの62日間)が残り11日となりました。

知事への直接請求に必要な有権者の50分の1(15万人)の署名が集まるかどうかは今のところ分かりませんが、少なくとも私と妻は署名を済ませましたし、すでに50分の1以上の署名が集まった市区町村もあるようです。

たとえ必要数に満たなくとも、署名運動による抵抗姿勢を示せたことは無意味ではなかったと思っています。

最悪のケースは、万博が終わった後、IRがオープンしてしまうことですが、初期費用は1兆800億円かかるそうで、早い時期に府市への収入どころか未来永劫赤字が回収できないことが判明すると思います。

年間2000万人がIRに入場し、カジノの売り上げだけで4200億円と目論んでいますが、2000万人というと365日毎日5.5万人が舞洲にやって来ることになります。輸送アクセスに無理がありますし、カジノにはスロットマシンは6400台しかありません。

5.5万人のうちスロットマシンからあふれた延べ5万人ほどの人たちは、カードゲームやルーレットをするのでしょうが、そのスペースやディーラーの確保は不可能でしょう。

5.5万人が毎日詰めかけて、カジノで負け続けて府市に収入を付け替えてくれなければ、IRカジノは立ちいかなくなるという、地獄のような採算計画なのです。

 

単年度で、予定されている5200億円の売り上げに遠く及ばなければ、そこからさらに未来に向けての最悪のケースを避けるために、オープンしたIRを閉じることを決断できるかどうかということが大きな課題だと思料します。

それまでにかけた費用やコストが埋没してしまうことを恐れて、未来に関して思考停止状態になってしまうことが、最悪中の最悪状態なのです。

サンクコスト(もう戻ってこない埋没コスト)に囚われていては、未来永劫に渡って生じる損のために大阪は消滅してしまうのです。

50年後や75年後に元が取れるなどという寝ぼけたことを言う輩に、それ以上税金を使わせてはいけません。民間ならさっさと手を引くことが、行政(とりわけ維新政治)には容易でないことを肝に銘じておく必要があります。

ということで、オープンする前にIRカジノはあきらめる方が大阪のためだと思います。計画している数値がずさん過ぎてむちゃくちゃでございます。

万が一オープンしてしまったIRでも、早期に撤退する条件をあらかじめ明確にしておくことを忘れてはならないでしょう。繰り返しますが、前もってサンクコストはあきらめて撤退できる道を作っておきましょう

大阪市議会は、自民党がIRに反対していますから、自民党が中心となって撤退のための綿密な条件整備をするべきだろうと思います。