遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

大阪のビル火災、24人もの犠牲者に胸が痛む

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大阪でビル火災があり、24人の方が亡くなられたという。

私は定年退職まで、毎日このビルが面した歩道を歩いて職場に行き来していた。

出火元は4階にある心療内科医院で、エレベーターで訪れた60前後の男が撒いた液体に暖房機の火が燃え移ったようで、放火による火災だったようだ。

院長は2015年にクリニックを開業。元は内科の産業医だったが、患者に発達障害の人が多く、苦しみながら働いていることに気づき、発達障害を診察するようになったという。院長を知る人は「障害について一生懸命勉強され、専門性を獲得しようとされていた」という。

この2週間以内に、私は街中のショップ内で暴れる男とネットやSNSで出会っている。

一人は、名古屋のディスカウントショップで万引き扱いされたとして、自動扉のガラスなどを破壊していた男。もう一人は、札幌の某ショップで商品や陳列ケースなどを破壊していた男。

二人とも、人に危害を加えるようすはなく、警官や警備員が駆け付けるまで建造物や内装をめちゃくちゃに破壊し続けていた。ああいう破壊行為は、どういった精神状態によって引き起こされるのだろうと考えていたのだが、きょうの放火犯にも共通する精神状態なのかもしれない。

しかし、今日の火災は多くの犠牲を伴ったもので許されるべきことではないが、もしかすると火元の心療内科に通っていた人間だったのかもしれない。犯人の市内の自宅も、このビルに先立って火災が発生していたようで、犯人のプロファイルが必要なとこだろう。

この医院は、日中にはアンガーマネジメントや、障害の特性と対処法などを学び、職場復帰を目指すリワークプログラムというデイケアを行っていたといい、「もしかしたら、デイケアの日だったので人が多くいたのでは」と関係者は言う。

犯人も重体だというが、京アニの放火や、新幹線での放火(犯人は焼死)は記憶に新しいところで、それぞれ犯行動機は異なっているのだろうが、それこそ心療内科によるアンガーマネジメントで事件を未然に防げたかもしれないのだ。

院長は「中高年で、地元に仕事がなく大阪に出てきたけれど誰にも相談できない、といった患者が多い。本人が変わらなければ企業も理解しづらいが、もっと話せる機会が必要」と語っておられたようだ。

自分も含めて、精神的に落ち着かなかったり原因不明で不安になったりして、専門家に話を聞いてもらって冷静になりたいと思うことが現代人には多々あると思う。しかし、専門家を知らなかったり個人情報が怖くて他言したくなかったりと、わが国でのこの分野の環境はあまり整っていないと感じる。駆け込むところがほぼない状態だし、治療すれば治るのにそのことを理解してくれる勤め先はあまりにも少ないと思われる。

「彼の仕事が不安定なのはある種の病気(発達障害)だから」という認識はまだ広く浸透していなくて、「怠け者」だとか「変わり者」として烙印を押されているのではないだろうか。

この火災にあった医院に通院することで、多くの人がこの院長に生きるための元気をもらえたのではないだろうかと思うに、この医院に起きた不幸な事件は心が痛むのだった。合掌

news.yahoo.co.jp