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あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

年金振込通知の誤記載問題/業者に接待を受けている場合ではないのだデジタル庁

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「年金振込通知書」の内容について、岐阜県の業者が作成し個人あてに送付した97万通について、内容に誤りがあった不祥事。宛先と年金額に齟齬があったようで、別人のデータが誤って通知されたようだ。

当初は愛知県、三重県、福岡県以外に誤りはないという話だったが、新たに和歌山でも誤った通知書が見つかったようだ。

この問題、印刷と郵送を受託した業者のずさんさは言うまでもないが、チェックをする側の日本年金機構のゆるい体制は、消えた年金以降何年経っても相変わらずだ。

民間から贈られてくるさまざまな「はがき仕様」の通知書を見ると、1枚の紙同じ面にプリントされたものが折りたたまれてはがき大の通知書になって送付されてきている。この様式だと、インプットデータ(住所名前年金額などのデータ)を一回でプリントして、そのままその紙を折りたためば完成。

ところが「年金振込通知書」を見てみたら、宛名印刷と年金額などの印刷面が表と裏別々に印刷されている代物だった。これは年金機構の仕様通りに受託勝者によって印刷されたと思うが、この方法だと非常に危険な印刷作業になってしまう。

年金通知書は、インプットデータ(住所・名前・年金額などのデータ)を、住所・名前で一回プリントして、年金額などの面をもう一回プリントして、2つの面を表裏で貼り合わせている。

届いたはがきを手でめくって内容を確認する手間は同じなのに、年金機構はわざわざ2面に分けて印刷して、それを何らかの方法で貼り合わせているのだ。

1つのものを折りたたんではがきを作るのと、2つの別々のものを貼り合わせてはがきを作るのでは、その作業のリスク量の差は天文学的なものになる。

年金通知書の2つの面には「通し番号」が印刷されていて、それが表と裏の共通のキーになっているだけなのだ。

今回はこの2面の貼り合わせ時に何らかの原因でズレが生じ、Aさんのあて名書きの裏にBさん年金額の内容が印刷された面が貼り合わされていた。

この印刷方法をとる以上、今後も同じ間違いが生じる可能性がある。印刷時点で1つのデータですべて同じ面に印刷する方法に変えるべしなのだ。

今回の、通知の作り直しと送り直しで億単位のコストが失われるのだろうが、当然に年金保険料からの負担は考えていないようだから、これまた税金の無駄使いと言わざるを得ないのだ。

ところで、180兆円を超える年金資産を運用管理する年金機構がこのレベルでは、我々の未来の資産がまた消えてしまいそうで不安で仕方がない。

年金機構の運用部門を担うGPIFは、例の中国の倒産しそうな不動産関連会社に100億円規模で出資(株式取得)しているようで、資産運用のリスクについても心配でならない。しかも運用実績が詳らかではないから、心配は募るばかりである。

デジタル庁が立ち上がって間もないが、国のさまざまな電子処理の整理や実用化については、気の遠くなるほどの労力とコストとセンスと時間が必要になるだろうと、今回の不祥事を見ていても容易に想像できるのであった。NTTや業者に接待を受けている場合ではないのだデジタル庁。

まずは年金を消さないように全力を尽くせ。年金機構はすでに機能不全なのだから。

 

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