遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

阪神タイガースは「打者が出塁しないと勝てない」ことが判ってきた!?

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アスレチックスの前に立ちはだかるイチロー(映画「マネー・ボール」より)

マイケル・モンロー・ルイスのマネー・ボールは、2003年に出版されベストセラーになった。
メジャーリーグベースボールMLB)の球団オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)に就任したビリー・ビーンが、セイバーメトリクスと呼ばれる統計学的手法を用いて、MLB随一の貧乏球団であるアクレチックスをプレーオフ常連の強豪チームに作り上げていく様を描く。2003年に米国で発売され、ベストセラーになった。2011年にベネット・ミラー監督、ブラッド・ピット主演で映画化された。(ウィキペディア)》

私は本は読まずに、ブラッド・ピット主演の映画「マネー・ボール」をNetflixで観た。

野球関係者で「マネー・ボール」で示された理論をいまだに何ひとつ参考にしていない人間はいないだろうが、意識的にそれらの理論を採用するのとしないのでは雲泥の差があるだろう。

一例をあげると、打率よりも「出塁率」を重視するという考え方。
《重視される要素
出塁率
打率ではなく、四死球も含めた出塁する確率。ビーンの定義に基づけば「アウトにならない確率」あるいは「投手に対する勝率」である。打率が高いに越したことはないが、高打率の選手は他球団からの評価も高くなるため、打率が多少低くても出塁率の高さを優先して選手を獲得した。》

昨日(2021年6月13日)の、阪神vs楽天戦。阪神の連勝で迎えた三連戦の最終戦だった。
5-2でリードしながら、阪神楽天の粘りにあい、5-5で迎えた9回2アウトから梅野のフォアボールを足がかりに1点をもぎ取り1点差で逃げ切った。

阪神勝利の貢献度でいうと、9回2アウトから決勝打を放った近本(2ランホームランも打つ)も、決勝点のホームベースを踏んだ梅野も同等と言える。

梅野はこの日、3打席連続で四球を選び、3回ホームベースを踏んで得点を記録している。彼が出塁したからこその貢献度で、「マネー・ボール」で示されたあたりまえのこと「野球は打者が塁に出てホームベースを踏まないと勝てないゲーム」だということを形で見せてくれたのだ。

しかも梅野は、9回2アウトから盗塁(ディレード・スティール)を成功させ、相手の守備の乱れから3塁に到達していた。キャッチャーながら足を使って、9回2アウトから一人で3塁ベースまでたどり着いてチャンスを広げたのだった。素晴らしい活躍だった。キャッチャーマスク越しに、自分のリードで点数を取られて同点に追いつかれたことによる「怒り」の大活躍だったのかもしれない。

昨日のゲームを劇画にしたら、9回の攻撃だけで6か月くらい連載できるのだろう。

マルテ(選球眼もある)・大山・佐藤・サンズら中心打者のホームランや長打と、近本・中野・糸原・梅野らその他の好打者の頭脳的なプレーが相まって、今年の阪神タイガースは去年までとは違ったチームに見えてしまう。「野球は打者が塁に出てホームベースを踏まないと勝てないゲーム」だということが判ってきたようなのだ。ひょっとすると、今シーズン前に首脳陣が「マネー・ボール」を見たのかもしれないw

年齢や年棒の問題はあったにせよ、あんなにヒットを打ってフォアボールを選んで出塁してきた鳥谷敬を放出した球団だったのに…。

ということで、阪神タイガースは「意外に賢い」チームに変身しつつある途上だということを、こっそりお知らせしたいと思う今日この頃である。

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