遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

アッパレ笹生優花/祝・全米女子オープンゴルフ優勝!

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寝ぼけた頭でモーニングショーを見ていたら、「全米女子オープンゴルフが大変なことに」「畑岡と笹生がプレーオフに!」と羽鳥が絶叫気味に伝えるので、あわててゴルフNW(ネットワーク)にチャンネルを切り替える。

初日から笹生が上位にいたのは知っていたが、最終日にはほぼそのことを失念していた。

どちらが勝っても全米女子で日本人が勝利することが確定していたので、ライブ放送を見ながらも心穏やかに結果を受け入れることができた。

笹生優花(19)は昨年日本女子プロゴルフツアーにデビューし、シーズン前半で2勝を挙げ、最終的に1億円近くの賞金(4位)を稼いだ期待のルーキー。

一方、畑岡奈紗(22)は常に「黄金世代」の先頭を走っていて、数年前から全米を本拠地として徐々に実力を発揮している実力者。渡米した直後の彼女の日常を追ったドキュメンタリーを見て、環境に適応するのに苦労したり生活費などの経済的な面でも苦しい生活をしていたのを知っていたので、畑岡が勝てば尚いいのになあと思いながら見ていた。

結果は、プレーオフの3ホール目で笹生がバーディを決めて優勝した。アッパレ!アッパレ!

昨年来、すごい19歳だと思っていたが、まさか全米女子オープンを制するとは。
前半笹生はダブルボギーを2回もたたいて4打も失っていたいたにもかかわらず、5打差でトップを走っていたレクシー・トンプソン(26)が自滅したこともあって快挙を達成した。
笹生は19歳にして、すでに女子プロゴルファーとして「全米女子オープンチャンピオン」という最も大きい称号を獲得した。それにしても今期で76回という全米女子の歴史は、さすがと言うほかないのである。

www3.nhk.or.jp

NHKによると、「笹生優花選手は、東京都出身の19歳。日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれ、現在は日本とフィリピン両方の国籍を持っている。」とあり、2つの国籍を持つ子どもたちは21歳までにどちらかの国籍を選択しなければならないが、ダルビッシュ大坂なおみのように日本国籍を取得すると本人は語っているようだ。

NHKによると、「(父親の)正和さんの影響で8歳のときに競技を始め、その後、練習環境を求めてフィリピンに渡ります。」とあるが、きっとフィリピンでのゴルフ環境は諸費用などさまざまな面で日本よりいい条件なんだと思う。

韓国の優秀な子どもたちは、家族ぐるみでアメリカやオーストラリアに移住して、強いゴルファーが次々に誕生しているが、笹生はフィリピンで強くなったゴルファーだ。

その昔、ゴルフプロは中卒や高卒でゴルフ場の従業員となり、キャディなどの仕事をしながら合間にラウンドをしてゴルフ場の所属プロになるというケースが多かった。いまや、幼いころから才能のある子どもたちには、あの手この手の英才教育が施される。

これはゴルフに限らず、さまざまなスポーツに共通することで、いまや「部活」だけではスポーツの才能の発見は難しい。運動部の顧問の先生の負担が大変なことになっている昨今、スポーツに向けての費用や施設や技術の提供を、さまざまなほかの分野の才能の発見やサポートとからめて部活を見直す時期に来ているのかもしれない。

金目当てでお国のためにならない税金にたかるだけのくだらない企業や人や権威に予算をつけるくらいなら、科学や経済や医学やスポーツや芸術などで才能ある青少年男女に予算をつけて環境を整えて技術的援助をしても誰も文句は言わないだろう。これは「新しい国づくり」項目のほんの一面のことだが、そういうことを日本でも始める時期だと思う。そういう環境を整えてこのの「ニッポン、すごい」だと思う。

笹生優花の19歳とは思えないあの落ち着きぶりが、私には他の分野の才能(例えば、藤井聡太や佐藤輝明)と共通していてまぶしいばかりである。おめでとう。