遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

棋聖戦の5番勝負の第1局、藤井七段が勝ちました。アッパレ!

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また藤井七段が勝ちました。アッパレ!

きょうは、棋聖戦のタイトルマッチ5番勝負の第1局が指されました。

史上最年少のタイトル戦挑戦者となった藤井聡太七段が初戦を勝ったということは、長い歴史を誇る将棋界で「最年少でタイトル戦の1局を勝利」した棋士になったということでもあります。(最年少のタイトル挑戦権の記録を持っていた屋敷伸之も、初戦を勝利していた)

きょうは、抽選(振り駒)による先番になった藤井は、「矢倉」という戦法を取りました。その昔、米長邦夫という棋士が「矢倉は将棋の純文学である」とキザなことを言いましたが、近ごろでは「矢倉は死んだ」とまで言われ、最近まであまり指されなかった戦法でした。しかし、最近藤井が指すようになったこともあり少しずつ復活してきました。

半世紀近くも前、当時の名人だった中原誠の矢倉の指南書で将棋を覚えた私は、実践は矢倉戦法(矢倉囲い)しかできないへぼ将棋指しなのですが、矢倉が復活の兆しがあって嬉しいことであります。

きょうは、藤井が採用した矢倉で少し意表を突かれたと言っていた渡辺明棋聖でしたが、少しづつ差をつけられて寄り切られた形で敗れました。

それにしても、初めてのタイトル戦登場にもかかわらず、17歳の高校生棋士は落ち着いた指し回しで横綱相撲を見せてくれました。相手の渡辺棋聖は強烈な強さとオーラの持ち主で、藤井君の前の中学生棋士はこの渡辺明棋聖でしたので、36歳という年齢をはるかに凌駕するキャリアの持ち主です。しかし将棋盤を挟んで向かい合えば立場は互角ということを、きょうの落ち着いた態度の藤井君が表象していました。

また、いつもの、スーツにネクタイ姿の初々しい挑戦者は、着物姿ではなかったことも好感度抜群でした。
藤井君は師匠から贈られた和服(羽織・着物・袴のセット)を持っているようなのですが、待ってましたとばかりにその和服を着るのではなく、思いがけないタイトル戦出場で和服が対局に間に合いませんでした、という雰囲気に好感を持ちました。

強い人ほど謙虚で礼儀正しい将棋・囲碁界が大好きな私であります。

棋聖戦第2局は、6月28日に行われます。次は先後が逆になり、渡辺棋聖が先番になります。どんな戦法になるのか楽しみですが、次は藤井君は和服姿で登場するかもしれません。