ザ・ロイヤルファミリー 早見 和真 (著) 新潮社
競馬にかかわる人たちの物語、早見和真の 「ザ・ロイヤルファミリー」を楽しく読了。
競馬になじみのない人にも、わかりやすく書かれていて万人向け小説だ。
「ロイヤル」という冠名(競走馬名の頭に付ける特定の言葉)の馬主、その秘書(本書の語り手)、騎手、生産者、ライバル馬主などのそれぞれの「ファミリー」の物語で、登場人物たちの関係性はバリエーションに富んでいる。
サラブレッドという競走馬をこの世に輩出し、育て調教し、競馬レースに出走させ、引退後は繁殖のために北海道の牧場に繋養する。そのすべてに人間がかかわっていて、人間ドラマが生まれる。
物語の中間点あたりの、もうクライマックスか?という展開から、エンディングまでの筋道はほぼ想像がついたが、私の想像通りだったので清々しく楽しめた。読者の想像を超えたほうがよりドラマチックなんだが、本書の筋書きでも十分楽しめた。
私はかつて競馬とファミコン・ゲーム「ダービースタリオン」に入れ込んでいた。また、ディック・フランシス(英国の騎手出身のミステリ作家)の一連の競馬ミステリーや宮本輝の「優駿」という競馬関連の小説を楽しめる体質を持っていた。なので、当然に本書に飛びついた。
著者の早見和真は、本書で日本の競馬界を丁寧に描写している。丹念に競馬関係者に取材を重ね参考文献を読み込んだのだろうということが容易に想像できる。きれいごとだけではない競馬界にも触れている。
いま私はダービーと有馬記念だけは、少しだけ馬券を買っているが、もう少し広く馬券復活しようかと思わされた。(JRA競馬投票用銀行口座の現在残高は30万円弱で、0円になったら馬券は卒業予定だ。)
本書→宮本輝「優駿」→D・フランシス「利腕」→ダビスタ→中央競馬(ダービーと有馬記念)という流れをぜひともお勧めしたい。
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