遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

安宅の関/義経(NHK・大河ドラマ)

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京都南座では、師走恒例の歌舞伎「顔見世興行」が始まった。

同時に、北風が吹き始めた関西である。



さて、少しさかのぼって27日(日)放送の、

大河ドラマ義経」は、「安宅(あたか)の関」。


義経」は、後2回の放送を残すところとなった。

その、最後に残されたクライマックスが「安宅の関」。


能の「安宅」、歌舞伎の「勧進帳」でも超有名な場面である。

特に楽しみにしているTVドラマでもないが、

日曜日夜8時は、定番となっている。


高1の下の娘に、歌舞伎の「勧進帳」のストーリーを話すと興味を持ったのか、

画面を食い入るように見ていた。

翌日、下の娘曰く、「昨日の『義経』、チョットうるうる、した。」とのこと。


私も実は、うるうるしてしまった。


きちんとその場面のディテールまで知っていたわけではない。


しかし、「忠臣蔵」の「松の廊下」の刃傷沙汰の場面、

「壇ノ浦」の「那須与一」の華やかでビューの場面、

などと並んで、スタンダードで有名なエピソードだから、

安宅の関」を大河ドラマはどのように見せてくれるのか楽しみであった。


さすがに、今回は、出演者のクレジットの最後は、弁慶役の松平健であった。

で、関守の富樫は誰がやるのか見落としたが、家人が「石橋蓮司」だと教えてくれる。


冬が近づき、早いうちに平泉に到着したい逃避行中の義経一行が、安宅の関で足止めを食う。

はたして、関守の富樫に素性を知られずに、無事に関を通り抜けることができるかどうか、

というのが、この世にも有名なお話である、


富樫役の石橋蓮司がよかった!感動した!


最初、ひょうたん徳利を持って、酔っ払って登場した石橋「富樫」に、

少し失望をした私、イメージが違う。


しかし、しかし、だんだん目が正気になって爛々としてきて、

義経・弁慶たちの素性を暴こうと、仕事をしだすところから、

怖い怖い富樫に見事に変身し、さらに天使のような心を披露してくれる。


ネタばれになるので、詳しいことは避けるが、

必死に「勧進のための通りすがり」を演じ、

悪魔のように変身する松平「弁慶」に感動する人多数!、であろうが、

私は、クライマックスで、天使のように変身していく石橋「富樫」に心が打ち震えた。


松平☆☆☆に対して、石橋☆☆☆☆差し上げる。

伊達に長年、脇で悪役やってるわけじゃないことを、石橋は立派に証明した。

伝統芸能の歌舞伎役者も、一目置く演技に、拍手。(おいしい役どころではあるけれど。)


3日の再放送で、「勧進帳」を知っておられる方も、そうでない方も

ぜひご覧になっていただきたい。

今年の大河ドラマで一番イイ出来の45分間である。