クリスマスのフロスト 創元推理文庫
R.Dウィングフィールド (著) 芹澤 恵 (訳) 価格: ¥987 (税込)
東京創元社が出版する、創元推理文庫のラインナップで、
東の横綱的存在が、このR.Dウィングフィールドのフロスト・シリーズである。
既刊は、3冊。
「クリスマスのフロスト」(1994年)
「フロスト日和」(1997年)
「夜のフロスト](2001年)
この季節にご紹介するのは、「クリスマスのフロスト」。
主人公のフロストは、ロンドンから数十マイルはなれた田舎町の警部。
「消されかけた男/ブライアン・フリーマントル」
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/6451818.html
で紹介した、英国情報員チャーリー・マフィンと同タイプの男がフロストである。
物語は、複数のストーリーが絡み合って進む。
決してこんがらがって進まないところが、
著者ウィングフィールドの腕っぷしの確かなことのあらわれ。
ただでさえ慌しく、警察署のモチベーションが上がらないクリスマスに、
ややこしいことが持ち上がり、「下品で汚いが仕事はデキル」フロストが乗り出す。
書類仕事がからっきしダメで、インテリ署長からは、
要注意人物として常に目を付けられている警部フロストが、大奮闘する。
フロストは、署長を痛快なまでに無視し馬鹿にする。
この仕組みは、このシリーズを一貫する、気持ちのいい底流である。
「クリスマスの…」は、複数のストーリーを、重苦しくなくユーモア溢れる展開にして、
フロストの人気を確固たるものにした1冊である。
後に続く「…日和」「夜の…」も、さらに面白い。
3冊読んで、フロストという人物の素晴らしさが分からなければ、
分からなければ……、うーん、悲しい、かなぁ。
有名なシリーズだが、売れているかどうかは知らない。
見たことも聞いたこともないという人が、ほとんどであろう。
面白い本を探している人、いい上司になろうとしている人、
こんがらがった状況に負けそうになっている人、
人間不信に陥っている人、困った上司に悩んでいる人、
クリスマスがヒマになりそうな人、いい男になりたいと思っている人、
いい男を探している人、異性に持てたいと思っている人、全員に告げる。
あなたの置かれた状況が、
解決方向に向かうかどうかは、保証の限りではないが、
読まれることを心からお奨めする。既刊はまだ3冊である。
★週刊文春が暮れに発表するランキング「傑作ミステリー・ベスト10」
1994 第1位 「クリスマスのフロスト」
1997 第2位 「フロスト日和」
2001 第1位 「夜のフロスト」
★このミステリーがすごい!
1995 海外部門 第4位 「クリスマスのフロスト」
1998 海外部門 第1位 「フロスト日和」
2002 海外部門 第2位 「夜のフロスト」
★ダカーポ特選 絶対おもしろいミステリー100
「フロスト日和」(順位付けなし)
★20世紀傑作ミステリーベスト(日本推理作家協会全会員アンケート)
(海外部門)第8位 「クリスマスのフロスト」
★「IN・POCKET」文庫翻訳ミステリーベスト10
評論家が選んだ第1位 「夜のフロスト」
★日本推理作家協会会員ミステリー通大アンケート
傑作ミステリーベスト10
海外部門 第1位 「夜のフロスト」