遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

桂 枝雀 落語大全

イメージ 1

桂 枝雀 落語大全 第一集
価格: ¥3,800 (税込)

【収録内容】
寝床
代書



お江戸は、こぶ平林家正蔵名跡を襲名し、

春風亭小朝春風亭昇太林家正蔵笑福亭鶴瓶立川志の輔柳家花緑によって

結成された「六人の会」の活動も充実したものになっている。

この6人はいいねぇ。


また、宮藤官九郎の脚本で高視聴率となった長瀬智也岡田准一主演のドラマ

タイガー&ドラゴン」も火付け役となって、

正蔵襲名とあいまって、ちょっとした落語ブームが到来したような、してないような。


うら若きお嬢さんが、アルタを通り越して、末広亭に足を運ぶてぇという光景は、

その、なんだね、いいこと尽くめで夢みてぇな話だね。

ただ、「今日は長瀬クンは出ないんですか?」みたいな落ちはいらないが。



一方、上方落語はというと、鶴瓶が「六人の会」で全国展開しているものの、

桂三枝桂文珍などという全国区組は、TVでの活躍のほかに、

地元で若手も交えて、粛々と定席を展開している。

粛々と定席とは、コンスタントにということで、

しかもお客の入りは盛況だから、実に立派なことである。


大御所、人間国宝桂米朝は、独演会の大舞台はやらなくなったようだが、

一門のユニークな、ざこば、南光、雀々小米朝らとともに健在ぶりは相変わらずで、

「一門会」は、まだまだ盛況である。


米朝一門も三枝グループも、掛け値なしに面白いから、盛況なのである。


江戸と上方には、同じ噺(はなし)もあるにはあるが、

やはり、語り口が英語とフランス語ほど違うので、

関東の人は、上方古典落語はよく解らないのではないかと思う。


しかし、上方落語の巨星は、関東でも認知されていた。

それが、故・桂枝雀である。


随分前の話になるが、体操の金メダリストの森末慎二は、

オリンピックの選手村のベッドで、枝雀の落語を聴いて、

眠りに就いていたという。


笑いは、緊張感から心身を開放する特効薬だと、私は思う。

笑って暮らせば、長生きすると思っている。


落語は、特に古典落語は、シナリオは決まっていて、

聴き手もわかっている。わかっていてもなお、それを聴く。

クラシック音楽とまったく同じ。ジャズの名盤も同様。


バックハウスの「月光」、マイルスの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」、

枝雀の「寝床」が聴きたくて、聴くのである。


「代書」も、枝雀の代表的な出し物で、私の中では、一番好きな一席である。


もう、とことん心底面白い噺を、聞かせてくれる。


Amazon.co.jp の落語DVDでは、売り上げベスト10の中に、

「桂 枝雀 落語大全」が5枚ランクインしており、

この「第一集」が1位である。