遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

東電OL殺人事件/佐野真一

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東電OL殺人事件 新潮文庫
佐野 真一 (著)   価格: ¥740 (税込)


短い出張で、東京へ行ってきた。


いつの間にか、すごいビルが建ち、いつもの景色がまったく変わっていたりする。

東京は、今日もいい天気で、帰ってくるのが心惜しかった。


東京は、関西人から見ると異国のようだ。

同じJRの電車に乗っていてもまったく違った雰囲気がある。

街を歩く人も、外国の人のように感じる。


街行く人たちの言葉遣いが違うからなのか、(今日の空のように爽やかでいい響き)

街の表情が違うからなのか、(モダンなビルも緑も美人も多くて素敵)

狭いビジネスホテルに泊まってしまったからなのか、(廉かったけど失敗だった)

エスカレーターの立ち位置が違うからなのか(関西は右に立ち、左側を歩く)、

どこかの仕出し屋の1500円の幕の内弁当が、信じられないほどまずかったからなのか、

山の上ホテルのコーヒーが650円もしたからなのか、(解っていて行ったのだけど)

なぜだかよく解らないが、異国のように感じる。


日本人ばかりの人ごみなのに、一人ぼっちだと思ってしまう。


札幌や博多や広島や金沢では、そう思ったことがないのに、

なぜか東京ではいつもそう感じてしまう。



あの事件の被害者のOLは、この東京でエリート社員であった。

被害者なのに、本人も家族も、既に亡くなった父親までもが、

興味本位で取り上げられる。


白状すると、私も興味本位でハードカバーが出版されて、即購入した。(画像はハードカバーのもの。)


後半は、加害者とされているネパールの青年の冤罪を立証するために、

多くの頁が割かれている。


著者は、OLの取材を重ねて、彼女の心の暗い闇が見えたのだろうか。


東京や、被害者OLや、彼女の家庭環境に比べると、

ネパールも、そこ出身の青年も、彼の生活も、彼の家族も、わかりやすいのであった。