中国地方をグルッと、3泊4日のクルマの旅。
一見、援交中のカップルに見えなくもない、二人旅。
二人は、倉敷を訪れるのは、はじめて。
当然、大原美術館も初体験。
モネやセザンヌなどの作品群に出会える楽しみから、
旅のフィナーレを、大原美術館に設定する。
そこで思いがけない出会いとなったのが、この作品。
「二菩薩釈迦十大弟子」
大原美術館の棟方版画館に常設されていた。
この作品で、1955年のサンパウロ・ビエンナーレや、
1956年のベネツィア・ビエンナーレの版画部門で大賞を受賞。
この作品で、世界のムナカタになった。
「わだばゴッホになる」という志功の夢を、実現した出世作である。
よくぞ、海外でこの日本的な芸術・文化を認めてくれたと、感謝したい。
板木の面を最大限に活かした像、と言われるように、
四角い箱からはみ出しそうな、閉じ込められたような、像もある。
一つ一つが、「像」なのに、生き生きとした生命感にあふれる。
そして、12の像が表装されてまとまると、
ロダンの「地獄の門」の対極にある
「天国の門」なのである。
なんとも、穏やかな、平らかな心境に導いてくれる、12の像である。
蓮の池さえ見えてくる。
ロダンの地獄より、こちらのほうが、遥かに素晴らしいと、私は思う。
「流離抄板画柵 31図 [詩: 吉井勇]の内 狐狼の柵」。
http://www.ohara.or.jp/pages/tenji_pages/tenji_munakata02.html
また、この作品は、初めて知った。
狼が、ユーモラスで、狐を背中に乗せた「バス」のようである。
尻尾がちょん切れていようが、お構いなし、
筆ならぬ、刀の勢いがみなぎる、天才的な小品である。
作品の大きさと価値は、このとおり、比例しない。
(大原美術館、WEB展示場 http://www.ohara.or.jp/pages/tenji.html)
旅は、サプライズの部分がないと、
確めることが目的になり、出会いが新鮮でなくなる。
しかし、次は、大原美術館に確かめる旅をしたいと思っている。
倉敷で、ムナカタが、待っている。