#ブックレビュー
ミトンとふびん 吉本ばなな 新潮社 きょうは吉本ばななの新刊「ミトンとふびん」のご紹介(ネタバレなし)。 わが家の本棚には彼女の著書が何冊か在るのに、なんと吉本ばなな初読みだった。 彼女の鮮烈なデビュー当時、妻が買って読んでいた初期の作品は、な…
正欲 朝井 リョウ 新潮社 朝井リョウの本を初めて読む。 彼はデビュー10年を記念して本書「正欲(せいよく)」を上梓したそうで、他の作品を知らないけどこれは彼の記念碑となる作品のように思う。いつもこんなに神経の行き届いた文章を書いているのだろうか…
おばちゃんたちのいるところ-Where The Wild Ladies Are 松田 青子 中央公論新社 自身2冊目の松田青子(まつだ あおこ)。前に読んだのは妊娠子育てのエッセイ「自分で名付ける」。今度は小説「おばちゃんたちのいるところ」。 1年半ほど前、2020年の「TIMES…
パラソルでパラシュート 一穂ミチ (著) 講談社 一穂ミチの「スモールワールズ」があまりにも素晴らしくて、彼女の「一般小説」第2弾の本書「パラソルでパラシュート」を手に取りゆっくり楽しんだ。 主人公の美雨は、大阪城ホールのコンサート会場でスタッフ…
ルーティーンズ 長嶋 有 (著) 講談社 複数の週刊誌の書評にあった「ルーティーンズ」。グリーン単色の表紙がかえって目立っていて、書評は読まずに本書を読もうと思った一冊。 著者の長嶋有が何歳で男なのか女なのかもまったく知らずに読み始めたら、これは…
ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ (著) 友廣純 (翻訳) 早川書房 幼くして家族に見捨てられ社会から蔑視された「湿地の少女」カイアの生涯の一部始終が描かれる。 6歳で家族に捨てられ、カイアは以後ひとりで暮らしていくことになる。ノース・カ…
スモールワールズ 一穂 ミチ (著) 講談社 一穂ミチの「スモールワールズ」は、直木賞の候補にもなったし、その前から多くの書評に取り上げられていて高い評価を受けていた。「小説現代」に連載された短編が本書として2021年4月に上梓されていて、ようやく年…
ぼくのお父さん 矢部太郎 (著) 新潮社 「大家さんと僕」「大家さんと僕 これから」に続く矢部太郎の「ぼくのお父さん」を読んだ。 芸人で漫画家の矢部太郎の父親は、絵本作家のやべみつのりだった。 太郎の家族は、両親と姉の4人家族。やさしくて少し変わり…
自分で名付ける 松田 青子 集英社 1年ほど前、2020年の「TIMESが選ぶ今年の必読書100冊」のなかに、日本の女性作家4人の作品が選ばれていて、その中のひとり松田青子(まつだ あおこ)という作家を初めて知る。 そして、先だっては「おばちゃんたちのいると…
岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない 岸 惠子 (著) 岩波書店 1932年生まれの岸惠子は私の母世代に属するお人で、草笛光子が高校の同級生だったそうで、ハリウッドで言えばエリザベス・テイラーも同年生まれである。ちなみに、マリリン・モ…
考えて、考えて、考える 藤井 聡太、丹羽 宇一郎 講談社 19歳の藤井聡太と82歳の丹羽宇一郎の対談が「考えて、考えて、考える」という本になった。 丹羽は、藤井と同じ愛知県出身で、伊藤忠の社長・会長を歴任し、民間から初めて中国大使になったお方。その…
テスカトリポカ 佐藤 究 (著) KADOKAWA 今回は、第34回山本周五郎賞と第165回(2021年上半期)直木賞をダブル受賞した作品、佐藤究(きわむ)の「テスカトリポカ」のご紹介。 山本賞は1988年創設で直木賞は1935年創設のエンターテイメント小説の大きな登竜門…
泡 松家 仁之 (著) 集英社 今年の春以降、新聞や週刊誌の書評に、待ってましたとばかりにこの作家の新作「泡(あわ)」が取り上げられていた。初めて知った作家の小説を半ば興味本位で読んでみて、結果、本年の私的ベスト3の一つに確定した。 主人公は東京に…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/22 号 6 冊 戦争…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/15 号 6 冊 心は…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日: 10/8 号 6 冊 涅槃(…
ロンドン謎解き結婚相談所 アリスン・モントクレア (著), 山田久美子 (翻訳) 創元推理文庫 舞台は戦後まもない1946年のロンドン。戦時中にスパイ活動の訓練を受けていたアイリスと、戦争未亡人で息子を持つ上流階級婦人のグウェン。対照的な二人は、自分たち…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日:10/1号 6 冊 家族のよ…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日:9/24号 6 冊 ねじねじ…
「マルチの子」 西尾潤(著) 徳間書店 マルチビジネスのど真ん中にいる22歳の真瑠子(まるこ)が主人公の小説のご紹介。 コロナ禍以前、男3人でJR大阪駅周辺でランチの後にカフェで数時間過ごしていると、不思議な集団によく遭遇した。 30~40代くらいの女…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 〇「白光」朝井まかて この作家は多作でまだ読んだことはないのですが、いつも面白い人物をモチーフに…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日:9/10号 6冊 平成史 昨…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆週刊朝日:9/3号 (特集 没後40…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:8月21日 28冊 向田邦…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:8月14日 18冊 トヨタ…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆掲載された媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:7月31日 18冊 星落ち…
アメリカはオクラホマ州アイダという町で、1982年に相次いで起きた若い女性の殺人事件を扱ったドキュメンタリー「無実 The Innocent Man」をNetflixで見ました。 この事件を扱った、ジョン・グリシャムが書いた「無実」というノンフィクションを私はかつて読…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品といえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 今週の書評本(◆媒体→タイトル・著者・出版社・税込価格) ◆朝日新聞:7月24日 19冊 スモールワールズ …
柳美里の小説を初めて読む。 2020年の全米図書賞の翻訳部門で、柳美里の「JR上野駅公園口」( "Tokyo Ueno Station"モーガン・ジャイルズ翻訳)が受賞したことがきっかけで、この受賞作を読むことにした。 昨日7月23日は東京オリンピックの開会式だったが、…
毎週日曜日は、この一週間に書評に取り上げられた本を紹介しています。今が旬の逸品いえるおすすめ品です。書評の内容については各誌をご覧ください。 第165回直木賞を受賞したのが佐藤究の「テスカトリポカ」と澤田瞳子の「星落ちて、なお」。 「テスカトリ…